突然聞こえた謎の声 No.2 ~ツインレイ体験記⑬~

夕日に佇む赤い花 不思議体験は縁の切れ目
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福田さんのサロンへ通っていたある日、私は、彼女とランチに行くことになった。

彼女はフラダンス教室に通っていて、そこで知り合った「スピリチュアル好きの人」とのランチに、私を誘ったのだ。

それまでの福田さんの言動に、ほんの僅かなしこりが残っていたからか、私は一瞬身構えたが、すぐに承諾し、当日、指定されたイタリアンカフェへと向かった――。

待ち合わせ時間より15分前に到着した私は、そのまま車中で待機することにした。

すると、そのすぐ後に福田さんが到着し、それに追従して彼女の知人の「大隈さん(仮)」も到着し、結局、私の予想よりもはやくメンバーが出揃った。

私たちは一斉に車を降り、軽く挨拶し合うと、そのままカフェの中へと足を踏み入れた――。


福田さんも美人だが、大隈さんもまた端麗で、私はいささか居心地が悪かった。

サラダとパスタが運ばれくると、それまで雑談ばかりしていた彼女たちは、ポツリポツリと、いわゆる「スピ系」の話をしはじめた。

それは、輪廻転生や波動についてで、私がこれまで、公の場では絶対に口にしなかったものばかりだ。

あまり社交的ではない私が、初対面の人との関わりで、生まれてはじめて新鮮な氣持ちに包まれた。

次いで、それまでの静観を破り、その会話に徐々に参加するようになった・・・のだが・・・。

私がなにかを語ろうとすると、福田さんはそれを遮るようにトイレに立った。

そのまま初対面の大隈さんと、当たり障りのない話をして場を持たせた。

福田さんが戻ってきた後、私が新たな話題を持ち掛けようとすると、福田さんはそれを遮るようにして別の話題を持ち掛けた。

正常性バイアスが働いているとはいえ、私は複雑な心境になった。

・・・とそのとき、突然、私の中に「誰かの怒り」が忍び込んできた。

当初私は、それを自分の感情だと捉えていた。

しかし、そう理解していることに対して次第に違和感が増し、それが自分以外の、つまり他者の怒りだと直観したのだ。

追ってその怒りが、「苛立ち」の域を超越し、じわじわと「爆発寸前」の状態に変化していった。

私は自分の状況が把握できず、動揺した。

しかし数十秒程で、その感情が、向かい側に座っている福田さんのものだと確信した。

彼女に目をやると、うつむき加減で平然とパスタを食べているが、その表情は、確かに怒りが滲んでいるようにも見受けられる――。


そんな出来事から数日間、私は、福田さんの怒りの矛先が、私に対してだったのか、それとも育児ストレスなのか、さらに、これから彼女とのお付き合いをどう続けるか…等々、悶々と考える日々が続いた。

まっさらな空の太陽
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そうして悩み抜いた末、最終的に私が出した結論は・・・。

「福田さんのことを『いい人だ』と自分に言い聞かせよう」というものだった(苦笑)。

言い訳をさせてもらえば、その頃偶然(それとも必然的に?)読んだ本に、「人間関係で悩んだときは、相手をいい人だと自分に言い聞かせましょう」と書いてあったのだ、、、。

それを真に受け、それまでの福田さんに対し、さまざまな不快な感情を抱きながらも、私はこんな滑稽な結論に至ったのだった、、、。

ということで私は、自宅でお皿を洗いながら、

「福田さんはいい人!福田さんはいい人!」

と、断言するように声に出し、呪文のように自分に言い聞かせた(イタイなーー私)。

すると突然、

「違う!!」

という女性の声がした。

本来だったらそこで、一瞬にして震え上がるところだが、私はその瞬間、ハッ!と我に返ったのだ。

その声に戦慄が走ったのではなく、

「そうか! 福田さんはいい人じゃない!」
「いい人であるわけがない!」

と、自分の本心を把握することができたのだ。

・・・そうして私は、スマホのアドレス帳から福田さんの電話番号を削除して、彼女と完全に縁を切った――。


ところで、私はここ数年、友人と決別する事態が重なっているが(早紀ちゃん、そして話が前後するが 知恵)、ネットでケータイ番号の変更方法を何度検索しても、探し求める情報がヒットせず、釈然としない日々を送っていた。

さらに今回、福田さんとの縁も絶つことになり、再度ネットでその旨を検索すると、今度はあっさりと、「事務手数料2000円で可能(当時)」ということが判明し、私はその足で、大急ぎでキャリアショップに直行したのだった。

もしも、友人たちと決別した時点で電話番号を変更していたのなら、以降、福田さんからの連絡に困り果てただろう。

この、完璧なタイミングで電話番号を変更できたことに、私は今、心から感謝している。


しかし、あの女性の声は一体誰だったんだろう・・・。

その、声で喝を入れてくれた女性にもまた、私は心から感謝している――。

つづく

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