染矢先生への伝言 NO.2 ~ツインレイ体験記㊵~

砂浜に書いたハート ツインレイ
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1学期も終わりに近づく頃、学食で、染矢先生に話し掛けたことがある

先述したように、このとき私は、慌ただしくその場を去ったのだが、これは「染矢先生に嫌われている」ということが大前提彼だった。

媚びを売るとかではなく、学校一怖い教師と、ただ純粋に言葉を交わしてみたかった。

もしかしたら、ツインのツの字も知らなかった当時の私でさえ、魂の奥底から湧き上がる親近感を、実際感じ取っていたのかもしれない。

しかし、満面の笑みで話し掛けてみたものの、その後も彼の態度は軟化することはなく、仏頂面のまま厳しい教師を「演じ続け」、それ以降、私はもう2度と、彼に近づこうとはしなくなった――。


2学期のある日――。

体育の授業で疲れ切った私たちは、次の世界史の授業を自主学習にしてもらおうと企て、私と友達が代表となって、世界史の谷山先生の元へ向かった。

その、職員室へ向かう渡り廊下でちょうど谷山先生と出くわし、私たちは先生に擦り寄って、体育でクラス全員が疲れている旨を説明し、自主学習をお願いした。

すると先生はすんなり承諾してくれて、私たちは大喜びし、先生に「みんなにOKって言ってくるね~っ!!」と声高にはしゃぎながら教室へと戻った。

私たちの後ろで、その一部始終を染矢先生が見ていた。

化学の授業では決して露わにしない、私と友達の明るい表情・・・。

この場面の染矢先生の存在もまた、降りてきた記憶が教えてくれた――。

夕日に映える大木
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谷山先生は、前年度に公立学校を定年退職し、私立の母校に新しく赴任してきたベテラン教師だった。

谷山先生は後の授業で、「若い先生が、『生徒とどう接すればいいかわらない』と相談してきた」と、得意げに語った。

当時は、そんな話など氣にも留めなかったが、その「若い先生」とは、染矢先生だったのだ。

彼は思い悩んでいたのだ。

あの、ニコリともしない険相な顔の裏で、私たちクラス全員が、化学の授業で異様に緊張し、恐れを抱いていることを、彼は苦慮していたのだった――。


染矢先生は、3年生のときもまた、同じ学年の別のクラスの担任だった。

彼のクラスは、文化祭で素晴らしい演劇を上演し、観衆から好評を博した。

数日後、私たちのクラスに、「染矢先生が喜んで、ご褒美として全員にジュースをおごった」という噂が流れてきた。

私たちは、あの仏頂面の染矢先生がジュースをおごるなど到底信じ難く、そのことで話題沸騰となった。

今の私であれば、彼のそのような行為を、「それこそ彼の本質だ」と理解できる。

彼は、心優しくて情熱的なのだ。

人との向き合い方が100%であるがゆえ、振り幅が極端なのだ。

彼は、生徒の前で心優しい一面が発揮できず、苦悩していたのだった――。


彼は心を閉ざし、本心で生徒と接していなかった。

魂を解放していなかったのだ――。

つづく

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