染矢先生に執着して、ネットで彼の名前を検索する日々が2年ほど続いている。
ヒットしない、と理解していても、新しい情報がアップロードされることを過度に期待してしまうのだ。
そんなことを何度も繰り返してきたが・・・、ついに彼の名前がヒットした。
私は胸が高鳴った、と同時に、それを冷静沈着に受け止めてもいた。
きっと、「ツイン」という結び付きに対して、揺るぎない信念を抱いていたのだろう――。
彼は、高校教師を辞め、公共施設の施設長になっていた。
加えてその施設は、驚くことに、祖母が入所している老人ホームから車で10分程度の場所にあった。
私は、彼との深い縁を実感したと同時に、ようやく再会できるという喜びで胸がいっぱいになった。
車で約1時間かかる老人ホームに入所している祖母には、月2~3度会いに行っている――。
数日後――。
祖母を見舞ったその日、私は、染矢先生の施設まで車を走らせ、道路を挟んで向かい側にあった児童公園の駐車場に車を停めて、彼が現れるのを待つことにした。
彼の施設のエントランスは、児童公園との間にある道路に面しており、私の車から、人の出入りが容易に確認できるのだ。
もし、彼が現れたら車を降り、偶然を装って「お久しぶりです!」と声を掛けるつもりだった。
そうしてそんなことを、実に2回も繰り返した・・・。
だが、就業時間中だからか、彼は一向に姿を見せない。
そこで、時間帯を変更し、終業後であろう夕方に向かうことにした――。
祖母との面会を終えた私は、午後5時半過ぎに児童公園に到着し、車をいつもの場所に停めてエンジンを切った。
エンジン音の騒音が消えた途端、西から射す秋の夕陽が、目に映るものすべてをオレンジ色に染めていることに氣付いて、少し孤独な氣分になった。
やがて日が沈み、街灯と通りすがる車のヘッドライトだけが明るく灯る中・・・、彼が現れた。
追って彼は、児童公園の先のコンビニに用事があるのか、こっちに向かってゆっくりと歩いて来ている。
夜の街灯に照らされた彼の表情は、年齢こそ重ねていたものの、二十数年前と比べると、どこか柔和な雰囲氣を醸し出していた――。
さあ、待ち焦がれていたツインとの再会だ。
手が付けられないほどに大好きなツインとの再会だ!!
声を掛ける前に大号泣してしまうかも!!
その時点ではそう信じ切っていた――。
つづく