「兄の結婚」と「私のツインレイ体験記」。
一見無関係ですが、結論を先に書きます。
兄夫婦はツインソウルカップルです(ツインレイではない…と思いたい)。
話は、早紀ちゃんとの間に起きた怪奇現象に頭を抱えていた頃、兄が義姉の「美恵子さん(仮名)」をはじめて連れてきた日からはじまる。
私の4つ上の兄とは、子供の頃から仲が良く、兄が県外の大学へ進学してからも尚、さすが同じ血が流れる者同志、価値観が一致することが多く、会うと恋愛話なども心開いて打ち明け合う仲だった。
そんな兄が結婚を決意し、その報告をすべく、美恵子さんと2人で実家に帰省してきて、両親と私の5人で外食することになったのだ。
その数日前、両親が初顔合わせの美恵子さんに配慮し、カジュアルなお店ではなく、少しかしこまったお店の予約を試みたらしいが、3件ほど電話しても満席と告げられ、否応なしに、日常的に利用している居酒屋で会食することになった。
その席で――。
兄夫婦は本当に幸せそうで、会食中もずっと笑顔が絶えず、喜びに浸っている様子が伺えた。
それまで、不条理な人事異動で苦悩していた彼を知る私としては、久しぶりに見る彼の笑顔に心底安堵した。
そしてお酒が入っているとはいえ、普段通りの自分で滞りなく会話を交わしていた・・・のだが・・・。
それは、突発的に起きた。
私に「なにか」が憑依して、美恵子さんに向かって不適切な言葉を発したのだ――。
・・・と書いて、一体誰が信じるだろう。
だが、そういう自分を客観視できているってことだけはご理解いただきたい。
それは、他愛もない揶揄だったが、明らかに美恵子さんを不快にさせた。
そして次の瞬間、本来の自分に戻って、私は平然と会話を再開した――。
・・・この一連の自分の言動で、私は、狐につままれたような心情になった。
自分に起きていることに、理解が追いつかなかった。
だが、自分に奇妙なことが起きていると決定的に認識できたのは、その数分後に再度なにかが憑依して、美恵子さんに饒舌に、まるで、兄が美恵子さんの悪口を言っていたかのように熱弁したことだった・・・。
念の為書いておくが、当時の私はもちろん、兄の結婚に異議を唱えようなど微塵も思っていない。
私に信頼を寄せてくれていたであろう兄は、呆然とし、目を大きく見開いて口をあんぐりと開け、驚愕した表情で私を見ていた・・・。
皆が凍り付く中、私は手の打ちようがない自分の失言に視線を落とし、心にこんな思いを巡らせていた。
「もしかしてこの結婚って、あまりいい縁じゃないのかなあ、、、」
と――。
つづく