兄の結婚 No.3 ~ツインレイ体験記⑤~

ハートの形の穴が開いた葉っぱ 私の周りのツインカップル
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なにかが憑依して美恵子さんに失言する。

そんな自分に疑心暗鬼になり、思い悩む日々が続いた。

そんな折、美恵子さんが妊娠した――。

もちろん、兄夫婦にとっては待望の妊娠だっただろうし、報告を受けた両親もまた、喜色満面だった。

一方私は、新たな家族が増える喜びよりも、自分に起きる不可解な現象に心を煩わせ、今後、兄夫婦と接するときの対処法について頭を悩ませていた。

そんな中、つまり美恵子さんの妊娠中に、いとこの結婚式で、兄夫婦が帰省してくることになった。

なにかが憑依する謎も解明できないまま、兄夫婦と顔を合わせることになった私は、媚びを売るのではなく、結婚式ではとにかく美恵子さんに笑顔で接そうと、心構えをした。

当日――。

披露宴で、私たち一家に用意された丸テーブルにはネームプレートが並んでいて、私の左隣は美恵子さんが座ることになっていた。

着席し、とにかく無事終わることばかりを念頭に置き、笑顔で何度か美恵子さんに話し掛けたのだが・・・。

美恵子さんは、私への返答を避けるべくバックからスマホを取り出し、自分の母親に電話を掛けて、泣きそうな声で「とにかく(失言されても)頑張るから」と言葉にし、私への嫌悪感をあらわにした。

さらに椅子を、彼女の左隣に座っていた兄の方へ移動させ、体を完全に兄の方へ向け、私を徹底的に避けたのだった・・・。

私は美恵子さんを憤慨させたのだ。

当然と言えば当然だった、、、。

さらに兄も、その結婚式の間中、美恵子さんをかばうようにして私を避けた。

兄の言い分を勝手に解釈すれば、一番大事なのは「赤ちゃん」で、母体である美恵子さんに、負担を掛けたくなかったのだと思う――。


そうやって、私と兄夫婦の間には、修復できないほどの深い亀裂が入った。

それから数か月間、私は深い悲哀に覆われた。

朝、起きるのが辛いくらい、心身ともに重かった、、、。

海辺のハト
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数か月後、姪が生まれた。

しかし――。


姪には疾患があった。

それからというものの、兄たちは名医探しに奔走し、姪は、健康を取り戻すつい最近まで、小さな体で何度も手術を受けた。

私は、いとこの結婚式以降、あんなに仲良かった兄に完全に避けられた痛みと、なにかが私に憑依して失言してしまう恐怖心と、この、矛盾するような2つの感情を、心の中でどう処理すればいいかわからずにいた。

結局、悩みに悩んだ末に出した結論は、「兄夫婦をできるだけ避けよう」ということだった。

こうして私は、長期連休に兄一家が実家に帰省したときは、挨拶だけしてすぐにアパートに戻るようになり、そしていつからか、もう近づくことさえしなくなっていった――。

つづく

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